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今回(2012秋)のゲームマーケットで
双天至尊堂かるた屋さんより大二札が復刻になりました。 入手した解説書では得点の精算ルールが変わっていたので それに合わせて、こちらのエントリを書きなおしてみました。 http://kubotaya.exblog.jp/5001386 くじゅろく(『96』)は「大二」という、関西以西を主な使用地とする 豆札系の地方札を使用した「めくりカルタ」の技法(遊び方)のひとつです。 愛媛県西予市明浜町田之浜(旧東宇和島郡明浜町大字田之浜)で くじゅろくの技法が伝承されていたのが確認されています。 「大ニ」の札の構成(ランク)は1から9までの数札および絵札(10)が各4枚、 鬼札、赤地蔵札(以下「地蔵札」と表記すます・代用として白札)各1枚の 42枚構成です。 (注:「10」は天正系カルタの『キリ』(最後のランクの札)に相当します。 騎馬武者札と紹介されている例もありますがカードのデザインからすると 『キリ』が正しいようです。目札の「10」は騎馬武者札のようですが。) 札のデザイン(スート)の基本は「オウル(貨幣)」の1種類です。 1、4の札にそれぞれスートがパオ(青)に相当するイーツン、イーシーと呼ばれる 特殊札が1枚ずつあり、また3の札に背景が赤色でデザインされている特殊札が 1枚あります。(注:3の特殊札は「イーサン」とは呼ばれていなったようですが ここでは便宜上、この3の特殊札を「イーサン」と呼称します。) [プレイの方法] 通常は4人でゲームをしますが、1回に実際にプレイする人数は3人です。 まず『オヤ(親)』」を決め、『オヤ』より反時計回りに『オヤ』→『ナカイ』→ 『オトイ』→「休み番」となります。 1回の勝負で『オヤ』が上がった(勝った)場合には続けて『オヤ』を務め、 『オヤ』で勝つことができなかった場合には次の『オヤ』は今『ナカイ』の人に移り 今の『オヤ』は「休み番」になります。 (追・重要) 『オヤ』の権利は後述するチップの移動を基準とし『オヤ』がトップタイ以上の 状況であれば『オヤ』は移動しません。 [札の配り方] 『オトイ』が札を切り、『ナカイ』にのぞんで(カットして)もらってから 『オヤ』が札を配ります。札の配り方は「手六の場六」で、 『ナカイ』から順に反時計回りに『オトイ』、『オヤ』の順で3枚ずつ配り、 『オヤ』の後に3枚場札として表を向けて配ります。これを2周繰り返します。 (『ナカイ』→『オトイ』→『オヤ』→『場(バ)』各3枚づつ×2周) もし、同じ数の札が4枚『場』に出てしまった場合は、 もう一度はじめから全部の札が配り直しになります。 [プレイの手順] 手番は『オヤ』より始まり、以下『ナカイ』→『オトイ』→『オヤ』→‥の順で 進行します。 プレイ方法は通常の花札の花合わせのように、まず手札より1枚出し、 同じ数字があれば合わせて取り、合う数字がなければ場に1枚捨てます。 そして山から1枚めくって合ったら取る、合わなければその札を場に残すこと を繰り返します。札は42枚で手札に6枚×3人=18枚、場に6枚、 山札に18枚ですので最後まで役が出来ない場合にはぴったり終わります。 最後まで役が出来ずに終わった場合は取った札を点に換算して、 チップのやり取りをします。点は、1札と2札は10点、3札から10札は 数字通りの点、赤地蔵札12点、鬼札は0点で、総計300点です。 [札の点] 1札)バカツン、イーツン ‥10点(以下各4枚) 2札)ニ ‥10点 3札)バカサン(イーサン) ‥3点 4札)バカシー、イーシー ‥4点 5札)ゴ ‥5点 6札)ロク ‥6点 7札)ヒチ ‥7点 8札)ハチ ‥8点 9札)ク ‥9点 10札)ドオ ‥10点 鬼札)オニ(ガジ) ‥0点(1枚) 赤地蔵札)(ジゾウ) ‥12点(1枚) 合計:300点 札の点を合計したら、100点を原点として1点につき1チップの出入りにします。 元々の「くじゅろく」は、鬼札/地蔵札のない40枚で、手6場4で行われた、 総点数288点のゲームであったようで、これを3で割ると原点が96点になることより 「くじゅろく」と呼ばれていたのが名前の由来のようです。 例えば甲が120点、乙と丙が90点取ったら、乙と丙は甲に10チップずつ支払い、 甲は20チップの収入になります。 点数勝負の場合に獲得した点数が70点以下の場合は3本打ち切りのルールにより 最大でも30チップの支払いで済みます。 もし途中で役が出来たときには役が出来たプレーヤーが上がり(勝ち)になり、 そこでその回の勝負を打ち切り、役代の精算します。 この時は札の点による計算は行いません。 例えばサンヤクが出来た場合、役の出来たプレイヤーは他の2人より 6本(60チップ)づつ貰えます。 [出来役] ・シヤク(四役:4札を4枚):+4本(40チップ×2) ・サンヤク(三役:3札を4枚):+6本 ・ダンジョオ(1札、3札、4札の特殊札)イーツン、(イーサン)、イーシー:+8本 ・シサン(サンヤク+シヤク):+10本 ・シダン(シヤク+ダンジョオ):+12本 ・ダンサン(サンヤク+ダンジョオ):+14本 ・シダンサン(サンヤク+シヤク+ダンジョオ):+18本 [最初の場札が特殊なケースの取り扱い] ・最初の場札に同じ数の札が3枚出た時には『オヤ』がその中の2枚を取り、 その後『オヤ』の手番で開始になります。 ・最初の場札に同じ数の札が4枚出た時はもう一度最初から配り直しになります。 ・最初の場札に「鬼札」がでた時は、『オヤ』がまず場札の中の任意の1枚の数札と 「鬼札」を合わせて取り、その後『オヤ』の手番で開始になります。 ・最初の場札に「地蔵札」が出た場合には『オヤ』がその「地蔵札」を取り、その後 『オヤ』の手番で開始になります。 ・最初の場札に「鬼札」と「地蔵札」が両方出た場合には、 『鬼と地蔵が場で出会ったら、鬼の力が地蔵によって鎮められてしまう』ので 『オヤ』は「鬼札」と「地蔵札」を合わせて取り、「鬼札」は数札と合わせることが できず「地蔵札」の12点のみの獲得となります。 [鬼札の取り扱いルール] ・「鬼札」はどの札とも合わせる(食う)ことができます。 ・最初の場札に「鬼札」がでた時は、『オヤ』がまず場札の中の任意の1枚の数札と 「鬼札」を合わせて取ります。 ・鬼札が手札にある時に、それを場に捨てて、『ヤマ』からめくった札と合わせる ことは禁止です。 ・鬼札は場に合わせる札がない時(前の人が場札を全部取ってしまい 場に札がない状態。これを『バナシ』という)でも「鬼札」を出すことはできます。 但し直ちに場より取り除かれ次にめくるられる札を取ることはできません。 (例外:次に地蔵札がめくられた場合は地蔵札を取ることができます)。 ・場に取る札が無い時に山札より「鬼札」をめくってしまった場合 直ちに場より取り除かれどの札も取ることはできません。 #「鬼札」は手番の最後に場に残ることがありません。 ・鬼札が数札にを合わさると、一枚半端が出ますが、これを『クライカス』と呼び これは鬼札を使ったプレーヤーが取ったものとみなします。 (重要) 「クライカス」になる札がまだ場に現れていなくても、「クライカス」になる札が確定した 時点で「クライカス」は「鬼札」を持っている人が取ったことになり、 もしこの時に役が出来るとその回の勝負が決定します。 [赤地蔵札(地蔵札)の取り扱いルール] ・最初の場札に地蔵札が出た場合には『オヤ』がその「地蔵札」をとります。 ・手札に「地蔵札」がある場合には自分の手番の時に「地蔵札」を場に出して どの札とも合わせずに、「地蔵札」をとることができます。 ・山札より「地蔵札」をめくった場合にはそのまま取ることができます。 #「地蔵札」も手番の最後に場に残ることがありません。 ・但し、「地蔵札」と「鬼札」が同時に場に出てしまった時には、、 『鬼と地蔵が場で出会ったら、鬼の力が地蔵によって鎮められてしまう』ので 「鬼札」と「地蔵札」を合わせて取り、「鬼札」は数札と合わせることが できず「地蔵札」の12点のみの獲得となります。 (例:「鬼札」を出したが山より「地蔵札」をめくってしまった場合。 「地蔵札」を出した時に山より「鬼札」をめくってしまった場合。 最初の場札に「鬼札」と「地蔵札」が両方ある場合。(前述)) #(注)「赤地蔵札」の技法は健部伸明氏による推定復元によるものです。 #任天堂の「大ニ」には「赤地蔵札」は入っていませんので白札で代用しましょう。 白札に赤地蔵の絵を描いてプレイすると尚よろしいです。^^ #愛媛県西予市明浜町田之浜で伝承されている技法では「赤地蔵札」を使わない ルールのようです。この場合「鬼札」の点が12点となります。「地蔵札」が入ると 「鬼札」の強さが緩和されてゲームバランスがよくなると思います。 #ゲームとしてプレイするときにはチップ30本持ちで『オヤ』が一巡(各一回務める)を一単位としてプレイするのがいいのではないでしょうか。 #「大二」札は双天至尊堂かるた屋で通信販売の取扱いされているようです。 #「大ニ」札は東京神保町の「奥野かるた店」で取り扱っていました。今もあるのかな?? #技法(ルール)まとめてみたら長くなってしまいましたが、実際にやってみると簡単で面白いです。ぜひプレイしてみてください。 [参考文献] 最後の読みかるた(山口泰彦著) (↑)96(くじゅろく)の謎-愛媛で幻のカードゲーム発見 遊戯史学会会報「遊戯史研究」第6号(1994年10月発行)」 よりの出典のようです。 [参考サイト] ギャラリー花札 江戸カルタ研究室 「中国のサイコロ」と「日本のシッピン(4・1)」( 世界遊戯博物館ブログ) 十五湖(サップンウー)(世界遊戯博物館) 釣魚(Diu Yu, Tiu-U, Fishing)(趣味研)
by kubota_ya
| 2012-11-15 00:00
| ボードゲーム・レビュー
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